介護のことを考えるとなにかと耳にする『在宅医療』
話には聞いたことがあるけど、実際はどうなんだろう?と思っている方も多いかと思います。
本日は在宅医療特化型薬局で働いている私が簡単に紹介させていただきます!
在宅医療とは?
病気や加齢などによって通院が困難な方を対象にしたサービス。自宅、高齢者施設で医師の往診や看護師の処置などの健康管理をうけることができます。
病気になって最後は住み慣れた街や自宅で過ごしたい…。このような悩みを解決できます。
いまでは医療スタッフ含め多くの職種の方が関わっています。
職種 | 主な役割 |
---|---|
医師 | 訪問診察、検査、治療の指導管理 |
看護師 | 医療的処置、点滴管理 |
理学療法士、作業療法士 | 歩行訓練、日常生活訓練 |
薬剤師 | 薬の管理と指導、薬の効果と副作用のチェック |
管理栄養士 | 食事内容の考案、栄養相談 |
ホームヘルパー・介護福祉士 | 日常の生活支援、身体介護 |
ケアマネージャー | ケアプランの作成、保険給付の管理 |
ソーシャルワーカー | 介護、家庭、金銭面的な相談 |

自宅や施設でサービスを受けられる反面、病院ほどの高度な検査や手術はすぐにできないことがデメリットではあります。
薬剤師がどう関わる?
薬剤師というと病院の前の薬局で薬を渡している、または病院で働いている人。そんなイメージを持っている方も多いかと思います。
現在、薬剤師の業界でも在宅医療に積極的に力を入れています!
薬の管理方法の確認や提案
家族構成、家の間取り、生活状況、認知症、食事の回数、他職種の介入状況などを加味してその人にあった管理方法を検討しています。
例にあげると
家族構成:同居の家族がいれば管理は家族に任せることもできる
認知症:日にち、曜日感覚の確認
食事の回数:食事と服薬は密接に関係します。飲み忘れ防止のために確認は不可欠
生活状況:どこで生活していることが多いか(リビング、ベッドなど)
他職種の介入状況:毎日介入があれば服薬補助を依頼できる
以上のことから患者さんにあった管理方法を検討しています。
薬の管理方法
飲み薬の管理方法として『お薬カレンダー』『お薬Box』『日めくりカレンダー』『服薬支援ロボット』が挙げられます。
実は患者さんの自宅に訪問した際に状況を見ながら使用するものを変えています!
管理方法 | 利点 | 適している場面 |
---|---|---|
お薬カレンダー | 日・時間帯ごとにポケットが 分かれている 一目でわかりやすい | 薬の飲む時間帯が複数ある 家族、介護者が管理している |
お薬Box | 持ち運びがしやすい コンパクトでスペースを 取らない | 外出が多い 家が狭い 机の前で生活している事が多い |
日めくりカレンダー | シンプルな管理方法 飲み忘れがわかりやすい | 独居の高齢者 難しい指示が入らない |
服薬支援ロボット | アラートが鳴るので忘れにくい アプリと連携。 遠くに家族がいても管理できる | どうしても飲み忘れてしまう(費用はかかるので要検討) |
また、飲み薬だけでなく塗り薬や貼り薬などの外用剤も管理しています。こちらも誰が管理するのかによって変わってきます。
- 本人、家族→管理している人が忘れない場所に置く
- 訪問看護師、介護者→使う人がわかる場所で管理する
薬の使い方の説明
患者さんの自宅で薬の使い方、効果や副作用の説明を行います。在宅独自の点として患者さんの皮膚や体調をその場で確認できることです。訪問時の体調を見て塗り薬の使い方、効果や副作用の確認を行っています。
他職種と情報共有
新しく開始した薬の効果や副作用、服薬状況を報告しています。服薬状況次第では内服回数の削減を目的とした処方内容の提案を医師に行います。
それだけでなく訪問時に明らかな体調変化があれば報告することもあります。自宅に行ったら呼吸状態が悪く看護師さんを呼んでそのまま緊急往診。そういった経験も実際にあります。
小児在宅とは?
ここで少し話は変わりますが、皆さんは『小児在宅』をご存知でしょうか。『小児在宅』とは医療的ケアが必要な子供が自宅で生活しながら医療を受けることを指します。医療的ケアとは人工呼吸器や痰吸引などの医療行為のこと。医療的ケア児は2008年から2倍に増加し、近年需要が増しています。
高齢者との違いとして医療だけでなく福祉、教育などの社会的支援や家族への支援が不可欠です。

平成30年度厚生労働科学研究「医療的ケア児に対する実態調査と医療・福祉・保健・教育
等の連携に関する研究(田村班)の推計方法による
まとめ
在宅医療に関して現場からみた現状も踏まえてお伝えさせていただきました。
『いまは自宅でこんなこともできるの?』とたまに患者さんからお声をいただきます。
それだけいまは医療も進歩し好きな所で医療を受けられるようになっています。
介護のことを考える際にひとつの参考にしてもらえると幸いです。
コメント